脱炭素アドバイザー派遣で市内事業者2社を各6回伴走。排出量算定からロードマップまで|群馬県富岡市

この事例のポイント

  • オンラインセミナーとアーカイブ配信、架電88社、新聞折込11,000枚で支援先事業者を募集
  • ファッション関連業と製造業の2社に、専門アドバイザーが各6回の面談で伴走支援
  • Scope1・2の排出量算定から、投資効果の試算、2030年度までのロードマップ策定まで支援

基本情報

自治体名群馬県富岡市
人口約44,000人
地域・主な産業群馬県南西部。世界遺産「富岡製糸場」があるまち
担当課ゼロカーボン推進課
業務名令和7年度脱炭素アドバイザー派遣業務
業務期間令和7年度
支援メニュー地域内事業者GX支援(事業者向けセミナー開催、アドバイザー派遣)
支援事業者数2社(ファッション関連業、製造業)

自治体紹介

群馬県の南西部に位置する富岡市は、世界遺産「富岡製糸場」で知られるまちです。

市は、市内事業者の脱炭素経営への転換を図るため、専門的な知識と経験を持つアドバイザーを派遣する「令和7年度脱炭素アドバイザー派遣業務」を実施しました。当社は、事業者向けセミナーの開催から個別の伴走支援までを一貫して担当しました。

背景・課題:脱炭素経営を「知る」から「実行する」へ進める後押しが必要だった

脱炭素経営が、中小企業に自分ごととして届いていない

脱炭素経営は、大きな工場を持つ企業の話と受け止められがちです。実際にセミナーでも「製造機器や工場がない場合でも取り組む意味はあるのか」という質問が寄せられました。そのため、中小企業や個人事業主にとっての必要性とメリットを、身近な例で伝える場が求められていました。

何から取り組むかが分からず、排出量も把握できていない

支援した2社のうち、製造業の事業者は排出量を算定したことがなく、ファッション関連業の事業者は「具体的に何から取り組むべきか」を整理できていませんでした。小規模な事業者は大きな設備投資が難しいため、自社の実情に合った対策を選ぶための判断材料が必要でした。

支援が終わったあとも、社内で取り組みを続けられる人材が必要

排出量の算定は、毎年続けることで削減の効果を確かめられます。そこで市は、CO₂排出量削減に向けたロードマップの作成に加えて、事業所内のGX(グリーントランスフォーメーション。脱炭素と経済成長の両立をめざす変革)人材の育成を、本業務の目的に掲げていました。

支援内容:セミナーで機運を高め、2社の実情に合わせて各6回の面談で伴走

オンラインセミナーとアーカイブ配信で、参加のきっかけをつくる

令和7(2025)年8月8日に「脱炭素経営セミナー~中小企業のためのやさしい脱炭素入門~」をオンラインで開催しました。当社が脱炭素経営の必要性と、取り組む場合のメリット、取り組まない場合のデメリットを解説したうえで、昨年度にアドバイザー派遣を受けた市内事業者が、その後の取り組みと成果を紹介しています。

当日参加できない事業者にも届くよう、アドバイザー派遣の募集が終わるまでアーカイブ配信を続けました。

架電・支援情報サイト・新聞折込を組み合わせて、支援先を募集

セミナーだけでは情報が届かない事業者もいるため、募集期間(8月8日〜9月30日)は複数の手段で周知しました。具体的には、88社への架電、中小企業向け支援情報サイト「J-Net21」への掲載、市内全域への新聞折込チラシ11,000枚を実施しています。その結果、ファッション関連業と製造業の2社が支援先に決まりました。

排出量の算定から、削減施策の提案と投資効果の試算へ

2社とはキックオフミーティングでエネルギーの使用状況を聞き取り、Scope1・2(自社の燃料使用による直接排出と、購入した電気などによる間接排出)の排出量を算定しました。続いて現地を視察し、設備や運用の実態を踏まえた削減施策を提案しています。

施策ごとに削減効果や投資回収年数を示し、実施する施策を選ぶと削減効果が自動で計算される資料を用意したため、事業者は費用と効果を見比べながら検討できるようになりました。

2030年度までの目標とロードマップ、算定を続けるための研修

算定結果をもとに2030年度までの削減目標の考え方を提案し、製造業の事業者には、実施予定の施策を年度ごとに並べたロードマップを作成しました。あわせて、担当者が自社で算定を続けられるよう、2社にScope1・2の算定方法の研修を行っています。

ファッション関連業の事業者からは不要衣類の有効活用について相談があったため、衣服リユースの事業モデルを整理した資料も作成しました。

面談は各社6回で、事業者の都合に合わせて訪問・オンライン・電話・メールを使い分けました。面談の間が空く期間も電話やメールでフォローし、各社の状況は市との打ち合わせで随時報告しています。

支援先訪問オンライン電話メール計
ファッション関連業1回1回2回2回6回
製造業2回1回1回2回6回

スケジュール

業務は令和7(2025)年6月から令和8(2026)年3月まで、次のとおり進めました。

時期実施事項
令和7年6月契約手続き
令和7年7月〜8月セミナー準備、参加者の募集(7月8日〜8月7日)
令和7年8月脱炭素経営セミナーを開催(8月8日、オンライン)。アーカイブ配信を開始
令和7年8月〜9月支援先事業者の募集(8月8日〜9月30日)。架電、J-Net21掲載、新聞折込(9月13日)
令和7年9月〜令和8年2月アドバイザー派遣(2社、各6回の面談)
令和8年3月結果のとりまとめ、報告書の提出(3月19日)

成果:2社が排出量を把握し、削減に向けた施策と目標の検討材料がそろった

約6か月の伴走支援を経て、2社は自社の排出量を数字で把握し、次に取り組む対策を具体的に検討できる状態になりました。主な成果は次のとおりです。

  • 2社のScope1・2排出量を算定し、どの設備・エネルギーから排出されているかを可視化
  • 2社それぞれに、現地視察を踏まえた削減施策と、2030年度までの削減目標を提案
  • 製造業の事業者は、実施予定の施策を整理したロードマップを作成。今後も排出量の算定を継続する方針
  • ファッション関連業の事業者は、照明の省エネ対策と、空調の省エネ運用(フィルター清掃、適正な温度設定など)を検討する方針
  • 2社の担当者が算定方法の研修を受け、自社で算定を続けるための基礎を習得

今後の展望:算定の継続と、削減施策の実行へ

支援を受けた2社は今後、提案された施策の実施時期や削減目標の設定を検討しながら、取り組みを進めていきます。製造業の事業者は排出量の算定を続けながら追加の削減施策を検討し、ファッション関連業の事業者は照明と空調の省エネから着手する方針です。

セミナーでは、昨年度の支援を受けた事業者が自らの取り組みを紹介し、次の事業者の参加を後押ししました。支援を受けた事業者が地域の先行事例となり、取り組みが市内に広がっていくことが期待されます。当社は、計画策定から実行までを支える立場として、事業者の排出量算定や削減の取り組みに引き続き伴走します。