この事例のポイント
- 区域施策編・事務事業編・気候変動適応計画の3計画を1冊に統合し、策定と運用の事務負担を軽減
- 住民・事業者あわせて1,400件を対象に意識調査を実施し、関係団体へのヒアリングで地域の声を反映
- 策定後に使える補助金の情報提供まで含め、計画を実行に移すところまで伴走
基本情報
| 自治体名 | 青森県藤崎町 |
| 人口 | 約14,000人 |
| 地域・主な産業 | 津軽平野のほぼ中央。りんご「ふじ」発祥の地で、農業産出額の6割を果実が占める。米、にんにく、養鶏も盛ん |
| 担当課 | 住民課 環境係 |
| 業務名 | 藤崎町地球温暖化対策実行計画(区域施策編)策定業務 |
| 業務期間 | 令和7年9月〜令和8年1月 |
| 支援内容 | 計画策定(区域施策編・事務事業編・地域気候変動適応計画) |
自治体紹介
青森県の津軽平野のほぼ中央に位置する藤崎町は、りんご「ふじ」発祥の地として知られ、農業産出額の6割を果実が占めるほか、米やにんにく、養鶏も盛んなまちです。
町は令和7(2025)年3月に「ゼロカーボンシティ宣言」を行い、その実現に向けた具体的な道筋として、令和7年度に「藤崎町地球温暖化対策実行計画」を策定しました。当社は、この計画づくりを地域特性に即した形で支援しました。
背景・課題:限られた体制で、3つの計画をどう作り、どう動かすか
事務事業編の改定と、町全体の計画づくりが重なった
役場自身の排出を対象とする第4次実行計画(事務事業編)は、令和8(2026)年度を目標年度としており、改定の時期が近づいていました。
一方で、ゼロカーボンシティ宣言を実現するには、町全体を対象とする区域施策編と、気候変動の影響に備える地域気候変動適応計画(以下、適応計画)も必要でした。
支援内容・進め方
3つの計画を1冊に統合し、関連計画との整合を見直し
区域施策編・事務事業編(第5次)・地域気候変動適応計画を、1冊の計画書として構成しました。将来像と推進体制を共通にし、町全体と役場の取り組みを一貫して進められるようにしています。あわせて、町の総合計画や県の推進計画など、関連計画との整合を見直しました。
住民・事業者1,400件のアンケートと、5社・団体へのヒアリング
18歳以上の町民1,200人と町内事業者200社に調査票を郵送しました。回答は二次元コードからのWEBと紙の両方で受け付けました。
| 対象 | 配布数 | 回収数(回収率) |
|---|---|---|
| 町民(18歳以上) | 1,200人 | 460件(38.3%) |
| 町内事業者 | 200社 | 92件(46.0%) |
| 中学2年生(町内2校・WEB) | - | 120件 |
さらに町内団体、県内の銀行・事業者の5社・団体にヒアリングを行いました。補助制度の充実を求める声が多く、施策の検討に反映しています。
地域資源を数字で示し、排出量を「見える化」
町の果樹園769haが年約2,000t-CO₂を吸収するという試算を、計画書のコラムに載せました。制度上は吸収量に算入されない、りんご畑の価値を伝えるためです。
また、当社の排出量見える化システム(みんなの算定)を活用し、住民が自らの排出量を知るきっかけをつくりました。
2つの委員会の運営を支援
町内会連合会、商工会、農業委員会などの代表と住民課長で構成する「藤崎町環境問題等検討委員会」を2回開催しました。庁内の「藤崎町地球温暖化対策実行計画推進委員会」も1回開催しています。当社は、これらの会議の運営を支援しました。
スケジュール
| 時期 | 実施事項 |
|---|---|
| 令和7年9月 | 業務開始(9月4日)。現況把握、関連計画の整理 |
| 令和7年9月〜10月 | 町民・事業者アンケート |
| 令和7年11月 | 第1回 環境問題等検討委員会(区域施策編の策定方針)、中学生アンケート |
| 令和7年12月 | 第2回 環境問題等検討委員会(施策検討・最終確認)/第1回 推進委員会(事務事業編の方針) |
| 令和8年1月 | パブリックコメント、業務完了 |
成果:2030年度52%削減に向けた、5年間の実行計画が完成
- 「藤崎町地球温暖化対策実行計画」を策定。計画期間は令和8(2026)年度から令和12(2030)年度の5年間
- 区域の削減目標は、2030年度に2013年度比52.0%削減、2050年度にカーボンニュートラル(実質排出ゼロ)
- 再エネ導入目標は、電気で2030年度25,541MWh/年、2050年度101,638MWh/年
- 役場の削減目標(事務事業編)は、2030年度に2013年度比50%削減
- 将来像は「みんなでつくる あずましい 脱炭素のまち ふじさき」
- 3計画を1冊にしたことで、進捗管理と見直しを一度に行える体制に
計画書は藤崎町公式ホームページで公開されています。
担当者の声
本業務の実施にあたり、担当者の皆様には終始丁寧かつ迅速にご対応いただきました。
業務中に発生した課題についても、柔軟かつ前向きに対応していただき、解決策を迅速に提示いただいたことにより、円滑な業務の実施ができたと感じております。
今後についても、関連業務等の案件でご相談させていただくこともあるかと思いますが、よろしくお願いいたします。
今後の展望:施策の実行と、補助金を活用した事業化へ
藤崎町では今後、計画の施策を町民・事業者と連携して進めます。主な方針は、りんごの剪定枝など農業残渣を使った熱供給モデルの構築です。住宅・事業所のZEH・ZEB化(年間のエネルギー収支ゼロをめざす建物)の支援や、公共施設のZEB化検討も掲げています。
進捗は2つの委員会で毎年点検し、PDCAで見直します。当社は、活用できる国の補助金の情報提供をはじめ、計画策定から実行まで伴走支援を続けます。